医学生一日一歩【最終回】
モラトリアムの終焉―社会復帰へ向けて
十菱 大介
1
Daisuke JUBISHI
1
1東京大学医学部
pp.115-118
発行日 2010年1月20日
Published Date 2010/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102941
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結果発表の日
去る10月29日14時0分,平成21年度研修医マッチングの結果が発表されました.医学生にとっては,今後2年間の就職先が決まる大事な瞬間です.平日の昼で,本来ならいつも通り病院実習に取り組んでいるはずの時間帯でしたが,この日ばかりは「発表されたらすぐにでも結果を確認したいだろう」と担当の先生が気を利かせてくれ,昼過ぎに実習が切り上げられました.各自,自宅のPCの前で結果を待つこととなります.
もっとも,私の場合は自宅から学校まで電車で1時間ほどかかるので,発表時間には間に合いません.「急いでも仕方がないし,まあなんとかなっているだろう」と,持ち前のポジティブ思考を発揮した私は,浮いた時間を散歩に当て,寄り道をしながらゆっくりと帰ることにしました.先生の厚意を無にするようで申し訳なかったのですが,結果がもう決まっている以上,早く帰る意味は特にないと考えていたのです.1学年上の先輩の学年にはアンマッチの(どの病院ともマッチしなかった)学生はいなかったはずだと聞いていたため,きっと今年も大丈夫だろうと高を括っていた面もあったように思います.
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