特集 ゆらぐ「家族」
結婚モラトリアムの社会的意味—晩婚化と出生率低下の社会学
坂本 佳鶴恵
1
1お茶の水女子大学文教育学部哲学科
pp.28-32
発行日 1995年1月25日
Published Date 1995/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611903354
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
現代日本の晩婚化
最近,20歳代後半から30歳代の男女の未婚者が目につく。実際,1990年の国勢調査をみると,20歳代後半の女性の約10人に4人,男性の約3人に2人が未婚である。15年前の調査では,女性の未婚者が10人に2人,男性は2人に1人にもならなかったから、これはかなりの晩婚化である。
統計をさかのぼってみると,男性,女性の平均初婚年齢は,データのある1910(明治43)年以来,1930年までは男性約27歳,女性約23歳で落ちついている。しかし,その後日中戦争・太平洋戦争期間をはさんだ前後の統計で乱高下をみせる。1930年から1955年くらいまでは,戦争前ないしは戦中に晩婚化し,その後戦後の動乱期に早婚化した。戦中の1940年には平均初婚年齢は,男性29.0歳,女性24.6歳にまで上がったのち,戦後の1947年では急速に低下し,男性26.1歳,女性22.9歳にまで下がっている。
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.