連載 医療の零度―次世代医療への省察【最終回】
現代医療の根本問題の終焉に向けて
京極 真
1
Makoto Kyougouku
1
1社会医学技術学院
pp.86-91
発行日 2009年5月1日
Published Date 2009/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101447
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現代医療は、考え方の矛盾対立(共通了解不可能性)というデッドロックに突きあたっている1)。たとえば、医療者間でこの問題に遭遇すると、治療方針ひとつとってみても合意しがたくなるため、チーム医療の実践が阻害されることになる。また、この問題が患者(家族)と医療者の間で生じると、十全な意志疎通をはかりがたくなることから、治療的信頼関係の構築が困難となる。喫緊の課題である医療崩壊も、根っこには考え方の矛盾対立という問題がある。つまり、この共通了解不可能性という問題は、私たち医療者を信念対立の渦中に投げ入れるだけでなく、医療システムそのものを根底から崩壊させてしまうモンスターへと成長しつつあるのだ。
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