特集 できる!縫合・吻合
Ⅲ.部位(術式)別の縫合・吻合法
3.胃
胃全摘後の回結腸を用いた間置再建術の縫合・吻合
竹野 淳
1
,
藤原 義之
1
,
瀧口 修司
1
,
森 正樹
1
,
土岐 祐一郎
1
Atsushi TAKENO
1
1大阪大学大学院医学系研究科外科学講座消化器外科学
pp.122-125
発行日 2009年10月22日
Published Date 2009/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102774
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はじめに
胃全摘後の再建に際してはRoux-en-Y法が最も汎用されている術式である.近年の自動吻合器の普及によって食道-空腸吻合の確実性・安全性が飛躍的に高まったため縫合不全の発生頻度は低くなっており,安定した手術術式となってきている.一方で,全胃喪失による食事摂取に関する種々の術後障害を軽減する目的で様々な再建術式が考案されてきた.具体的には,逆流防止弁の喪失による不快な逆流症状の防止や胃貯留能喪失に対する食事摂取量の改善など,術後のquality of life(QOL)を重視した様々な再建法が検討されている.
そのなかで,Lee1)によってはじめて報告されたBauhin弁を含む回腸上行結腸間置法は逆流の防止にBauhin弁を利用するため長い腸管の間置を必要とせず,同時に単管の空腸より大きな貯留能を期待できる術式であると考える.Roux-en-Y法と比較しても逆流性食道炎やダンピング症候群の発生頻度が低く,良好な体重回復を認めるなどの有用性が報告されている2).
本稿では,回腸上行結腸間置法による縫合・吻合の具体的手技とポイントを中心に述べる.
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