5 重症患者に対する急性期包括的栄養療法

The Comprehensive Nutritional Therapy for Critically Ill Patients in Acute Phase

要旨　重症患者の長期予後の改善には，過剰な炎症を早期に制御し，早期離床リハビリテーション療法と栄養療法を適切に組み合わせ，post-intensive care syndrome（PICS）発症を予防することが鍵となる．いずれの療法とも，侵襲早期から回復期までの代謝動態に応じた適切な介入を行うことが重要であるが，元来の患者背景や，疾病の重症度，治療経過によって，代謝変動は個別性が高い．「いつ」，「なにを」，「どの程度」，「どのように」という両療法の方針はテーラーメイドで行われるべきである．確固たるエビデンスに乏しい現状では，安全性を高める工夫として入院時より漸増をめざした方法が望ましい．今後は，リハビリテーション診療・栄養療法の両者を組み合わせたプロトコールを作成して行う必要がある．