技術講座 免疫
ヘリコバクターピロリ抗体の測定法
高橋 雅春
1
1(株)特殊免疫研究所
pp.1187-1194
発行日 1999年9月1日
Published Date 1999/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903970
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新しい知見
1983年,WarrenおよびMarshallは慢性活動性胃炎患者の胃粘膜からグラム陰性らせん菌の分離培養に成功した.この菌は現在ではヘリコバクターピロリと呼ばれ,慢性胃炎および胃・十二指腸潰瘍への関与が明らかにされた.そして,抗菌剤などによる除菌治療でこれらの疾患が完治することが示された.また,本菌による慢性胃炎は胃粘膜の萎縮,腸上皮化生を惹起し,その一部は胃癌へと進行する可能性が示された.
感染者の血中にはヘリコバクターピロリ抗体が出現し,除菌治療により菌が排除されると抗体価は低下する.今後,ヘリコバクターピロリの除菌治療が普及していく中で,本菌の存在診断および除菌治療効果判定の指標としてヘリコバクターピロリ抗体測定の有効性が期待されている.
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