元外科医,スーダン奮闘記・34
ずっとずっとコンティニュー
川原 尚行
1
Naoyuki KAWAHARA
1
1NPO法人ロシナンテス
pp.217-219
発行日 2009年2月20日
Published Date 2009/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102473
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リーシュマニア症に罹患
話は2008年7月まで遡る.左手中指がチクリとした痛みに襲われた.しかし,何かに刺されたな,というくらいの軽い感じで放っておいた.その後,その部分に炎症が起こったが,それは次第に引いていった.8月になって右下腿に3つの潰瘍性病変が生じた.これも,虫などに刺されてよくあることなので,放置しておいた.完治するまで3週間くらいかかったであろうか,9月になって左手背部に同じく潰瘍性病変を生じた.今度は抗生剤の服用を行ってみたが,治癒の方向へは向かっていかなかった.これはおかしいと思い,もしかしてリーシュマニア症ではないかという疑念が浮かび上がってきた.そこで,知人のハルツーム大学医学部のマオウイア教授のところへ行った.彼は私の病変を見るなり,「You became a real Sudanese!」と言われ,間違いなくリーシュマニア症だろうと述べた.皮膚生検を行い,確定診断に至った.
さて,リーシュマニア症のことである.スーダンを含むアフリカ東部,パキスタン・インドなどの南アジア,そして南アメリカなどに多く分布しており,sandfly(サシチョウバエ)に刺されて感染する寄生虫疾患である.皮膚型,皮膚粘膜型,内臓型とある.内臓型になると予後不良の疾患である.5価のアンチモンが治療薬とされるが副作用が強く,腎不全や肝不全を引き起こすケースも多い.
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