Japanese
English
特集 消化器癌外科治療のrandomized controlled trial
大腸癌肝転移のrandomized controlled trial
Randomized controlled trial for hepatic metastases from colorectal cancer
山本 順司
1
,
初瀬 一夫
1
,
柿原 稔
1
,
谷水 長丸
1
,
守屋 智之
1
,
上野 秀樹
1
,
辻本 広紀
1
,
小野 聡
1
,
市倉 隆
1
,
橋口 陽二郎
1
,
愛甲 聡
1
,
長谷 和生
1
Junji YAMAMOTO
1
1防衛医科大学校外科
キーワード:
無作為化比較試験
,
大腸癌肝転移
,
切除後再発予防
,
化学療法
,
肝動注療法
Keyword:
無作為化比較試験
,
大腸癌肝転移
,
切除後再発予防
,
化学療法
,
肝動注療法
pp.779-783
発行日 2009年6月20日
Published Date 2009/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102589
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要旨:肝切除後の再発率は全体で40~80%,肝に限った再発も30~60%と高率であり,それらを抑制することが肝転移切除の成績をさらに向上させると期待される.補助療法のRCTに共通していることは,比較治療は標準治療に対して無再発生存率を有意に向上させるが,生存率は向上させないという点である.レジメンについては,5-フルオロウラシル+フォリン酸(FU/LV)が無治療に対して肝切除後の再発を有意に抑制すると報告された.現状で肝転移切除症例を対象にRCTを計画する際には,コントロールアームとして無治療群を設定することは難しい.
肝切除術前後のFOLFOX治療が多施設共同RCTにより検証されたが,intent-to-treat basisの解析では治療群と無治療群の無再発生存期間は有意差がなく,肝切除症例の比較で10%未満の差が認められたのみであった.肝動注化学療法と全身化学療法を比較したRCTでは,肝動注療法は全身化学療法に比べて肝転移巣に対する奏効率は優れるものの,生存予後は有意差がないとされた.今後は欧米の報告を吟味しながら,より高精度な,わが国の医療レベルに見合った研究を計画していく必要がある.
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