元外科医,スーダン奮闘記・25
ダルフール(2)
川原 尚行
1
Naoyuki KAWAHARA
1
1NPO法人ロシナンテス
pp.665-668
発行日 2008年5月20日
Published Date 2008/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102130
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ダルフール問題の概要
ダルフール問題に関して概略を説明しておく.もともと,この地区はフール族の地を指してダルフールと名付けられており,フール王国であった.欧州の植民地化政策によってスーダン全土が英国の植民地になった際に,このフール王国も英国により滅亡させられた.そして,英国によるスーダンの植民地化が始まった.19世紀の終わりにスーダンは救世主マフディの出現によって英国の追い出しに成功する.しかし,その直後にマフディは死去した.死の直前にマフディはダルフール出身者を彼の後継者として指名するが,彼の死後,マフディの遺族とその後継者とで内紛を演じた.そして,再びやってきた英国軍にマフディ軍は滅ぼされてしまう.英国軍はその戦闘の際に南部人を用い,北部のマフディ軍と対立させている.そして,英国統治時代に南北の分断を行い,そのことが,その後に続く南北内戦の原因となる.
一般に20年以上続く南北内戦と言われるが,その歴史はもっと古いことがわかる.その内戦も21世紀に入って和平交渉が続き,2005年1月に包括的和平合意が締結された.しかし,これを面白く思わない連中もおり,2003年からダルフール問題が激化したのであった.
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