元外科医,スーダン奮闘記・30
国連職員配偶者への国外退避命令
川原 尚行
1
Naoyuki KAWAHARA
1
1NPO法人ロシナンテス
pp.1401-1403
発行日 2008年10月20日
Published Date 2008/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102294
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大統領訴追の動き
スーダンの現職の大統領に逮捕状が請求された.国際刑事裁判所(International Criminal Court:以下,ICC)でのことである.スーダン自体はICCに加盟していないため,もし逮捕状が発行されても無視し続けるであろう.しかし,一国の大統領,それも現職の大統領への逮捕状請求である.驚くよりほかない.スーダンという国を国際社会から抹殺しようするような動きである.
このような動きを受けて,国連は,スーダン軍が国連をターゲットに攻撃してくる可能性があると警戒を強めている.とりあえずの処置として,国連職員の配偶者を国外退避とした.これには国連職員の反発もあったようだ.なにせ,通達がきて2日後までに国外退避しなければならないのである.幸いなことに夏休みの期間中であったが,それでも子供とともにスーダンに残っていた家族もいたのである.「居座る!」という職員と家族もいたようだが,国連は国連機を使って隣国のウガンダまで強制的にでも連れていくと発表した.スーダンの首都ハルツームが騒然としているならば話は別だが,いたって平穏である.それだけに,家族の方々は納得がいかなかったのであろう.
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