書評
J. W. Rohen,横地 千仭,E. Lutjen-Drecoll(著)「解剖学カラーアトラス 第6版」
松村 讓兒
1
1杏林大学医学部・解剖学
pp.1784
発行日 2007年12月20日
Published Date 2007/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101990
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本書は1985年を初版とする解剖学カラーアトラスの第6版である.実に23年もの間,人体解剖学を学ぶ人たちの傍らで人体構造の道案内を果たしてきたことになる.一般には「ローエン・横地」と呼ばれる本書がいかに多くの学徒に受け入れられてきたかは「医・歯学生の間で単にアトラスといえば本書を指す」ということからも知ることができる.
本書はイラストや細密画による解剖学図譜ではなく,写真アトラスの範疇に属する.周知の通り,写真アトラスの優劣は写真自体の精度もさることながら,もとになる剖出標本の質と種類に依存するため,標本作成技術とその保存管理がきわめて重要である.その点からみれば本書は単なるアトラスではなく,きわめて質の高い人体剖出標本の存在を世に知らしめるアーカイブということができよう.将来にわたってかくも繊細に剖出された人体標本を一堂に提示することは不可能であるといっても過言ではない.
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