書評
—W. E. Watson 著—Cell Biology of Brain
楢林 博太郎
1
1順天堂大学神経学
pp.397
発行日 1977年4月1日
Published Date 1977/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204051
- 有料閲覧
- 文献概要
Edinburgh大学の生理学の教授であるWatsonの著になるが,最初の章の見出しであるBrain as an epi—theliumに一寸奇異の感を抱かせるが,通読していくと発生学的な説述からはじまる一連の講義としての構成としてよくなされていることが分る。項目順に並べると,1.Brain as an epithelium 2. The neuron as a cell 3. Membranes 4. Chemical transducers 5. Excita—tion-metabolism coupling 6. Plasticity 7. Responses to injury 8. Neurotrophism 9. Genetics of the nervous systemの各章に分かれている。発生学,形態学から薬理学,化学そして神経再生の問題と移るのであるが,その間電気生理学的な知識やSynaptologyにはほとんどふれていない。
さらにこのような標題の著書としては,その中に詳細な形態学上の写真や,生理学的,生化学的な具体的なDataの記録やTableがほとんど示されていないことで,巻末の3287にものぼる膨大な文献リストと共に,本書が高名な著者の中枢神経に関する研究と知識の総集として書かれたものであろうと考えられる。一寸他に例の見出し難い著書であろう。
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.