コーヒーブレイク
石垣島で転倒した思い出
上沖 修三
1
1岩手県立北上病院外科
pp.1395
発行日 2007年10月20日
Published Date 2007/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101856
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- 文献概要
私は53歳になってから走ることに目覚め,2003年9月には弘前ではじめて念願のフルマラソンを完走し,その勢いで2004年1月の石垣島マラソンにエントリーしました.1993年に岩手県が冷害のため大凶作に見舞われ,翌年に蒔く稲籾が不足して困ったときに,石垣島で岩手の種籾を冬場に増産して助けていただいたことを縁にして,石垣島と岩手県のランナーが石垣島マラソンと北上マラソンで交流するようになりました.この大会はそのような由来を持つ大会です.石垣島では,到着した日もマラソン前夜も地元の石垣島やわが岩手県庁走友会の人々は泡盛やビールで熱烈交流しました.石垣のランナーによれば,泡盛は走るためのエネルギー源として一番よいのだそうです.
二日酔いもなにするものぞと,まだ薄暗い朝8時30分に石垣市陸上競技場を出て42.195kmの長いレースが始まりました.市街地を過ぎ,海岸線を走り,12km地点のところで事件は起きました.道路の段差につまずき,前に倒れてしまったのです.しかも,手や指をなにより大事にする外科医の悲しい習性のためか咄嗟に手をかばい,顔を直接地面に打ち付けてしまいました.それを見ていた南沙織に似た地元の女性ランナーが近くのエイドで氷をもらい,わたしの右眼の周りを冷やしたりして介抱してくれましたので,痛みも余り感じませんでした.しかし,そのランナーもやがてゴール目指して風のように立ち去っていきました.
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