フロントライン'99 歴史
いま,沖縄の看護を掘り起こす—(前編)石垣島の看護職たち
川島 みどり
1
1健和会臨床看護学研究所
pp.456-460
発行日 1999年5月1日
Published Date 1999/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905837
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はじめに
沖縄戦での「ひめゆり学徒隊」の壮絶な活動については,誰しも1度ならず耳にしていることであろう.だが,これを戦時下の一連の不条理な出来事としてのみ位置づけるわけにはいかない思いが,戦跡巡りのたびにふくらみ,それが次第に大きくなっていくことをこの十数年来感じていた.まだ,ティーンエイジャーの女学生が否応なしに戦闘にかりだされたということが,自分の女学生時代と重なって他人事とは思えず,その女学生たちを統率し指導した看護職がどうであったかを知りたいと思った.これは,ひめゆり同世代の女性として,また看護職としての私の強い願いでもあった.
もう1つの関心は,戦後の沖縄看護についてである.「戦後,本土復帰は確かに遅れた,しかし,沖縄の看護は遅れなかった.それどころか本土よりも進んでいる面さえある」との沖縄の看護職らの気概.それは,訪沖のたびに出会う看護職らとの語らいの端々に感じ取れた.戦後27年間ものあいだ,米軍の戦略的拠点として本土と切り離され「本土なみ」の整備の遅れた面は多くあろう.しかし一方で,先進的なアメリカの看護がストレートに導入されていたのかもしれないと思っていた.そこで今回,くすぶり続けていた問題意識を晴らし,戦中・戦後の沖縄の看護事情について取材する運びとなった.したがって,昨年末まで,24回に渡って連載した「道拓かれて」(看護学雑誌61(1)〜62(12))の続きと思って読んで頂きたい.
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