外科医局の午後・27
「学会」雑感
岡崎 誠
1
1市立伊丹病院外科
pp.52
発行日 2007年1月20日
Published Date 2007/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101748
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私が学会発表にはまるようになったのは,そう昔からではない.若い頃に出張した病院は,実にゆったりとしたところで,医局内で学会発表をしている医者は誰もいなかった.かくいう私もまったく興味がなく,たまに出向くことはあっても夜の出歩きのほうが主であった.大学での学位仕事を終え,田舎の温泉病院,それから都会の県立病院に勤務したが,その前半はまわりに学会発表などする医者も雰囲気もまったくなく,学会にも行かなかった.
40歳少し前あたりから,これからは専門医資格が必要という風潮になり,そのためには筆頭論文や学会発表が必要であるという規定があった.それではひとつ症例報告でも書こうと決め,まず論文の執筆にとりかかった.2~3編が掲載されると,少し面白くなってきた.ついでに学会発表をということで,この論文の内容をもとに学会発表を始めた.あらかじめ論文執筆時の資料は揃っているので,学会発表自体は楽であった.そのうち症例報告だけではつまらなくなり,手術のビデオ発表も行った.実際に学会に発表して参加するのと,単に聞きに行くだけとは面白みも緊張もまったく違った.そのうちに,分野をある程度絞って,発表を聞いていると,今この分野ではなにがホットなことであるかも,また,その道の権威が誰であるかも序々にわかるようになってきた.
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