特集 クリニカルパスによる外科医療の進歩
第Ⅰ部:クリニカルパス導入の実践
クリニカルパス作成の実例
6.下部消化管
大腸内視鏡下ポリペクトミーのクリニカルパス
山下 幸孝
1
Yamashita Yukitaka
1
1日本赤十字社和歌山医療センター消化器科
pp.179-185
発行日 2003年10月22日
Published Date 2003/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101576
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はじめに
近年各施設において医療の標準化と付随するさまざまな効果を期待して,クリニカルパス(以下,パス)が導入されている.
当然のことながらパスは導入が目的ではなく,導入した後それが所期のとおりであるのかどうかが重要である.期待すべき効果が得られなければ改良するか,廃止することになる.
部署,立場により期待するものはそれぞれ異なっている.患者の立場に立つと,見晴らしの良い入院計画が呈示されるのでおおむね好評のようであるが,最大公約数をとるため細かい個人差については目をつぶることになる.例えば安静度や食事制限など,万人が共通して十分に納得するものはおそらくないと思われる.
医療現場のスタッフにとっては業務の効率化がなされるか否かが最も大きな問題点と思われる.
消化器科はマススクリーニングの科であり,内視鏡,超音波検査などのルーチン業務が多く,またその対象者は病人とは限らず,すべての人でありうる.時間内にほとんどフリータイムのないのが一般的である.また時間外でも救急患者はひっきりなしに来院する.そのため,業務の効率化に対しては当然強いインセンティブが働く.
このような状況の中ではパスは導入されやすい.それと他のコメディカルスタッフ,特に看護師に対するメリットもなければ頓挫してしまう.
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