iatrosの壺
大腸ポリペクトミー後の出血
小畑 伸一郎
1
1おばた胃腸科内科クリニック
pp.114
発行日 1996年11月30日
Published Date 1996/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905471
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大腸疾患への関心の高まりにつれ,大腸内視鏡検査による病変の拾い上げの増加,隆起性病変のみならず,陥凹性病変に対する内視鏡的切除の機会が増加している.それに伴う合併症として,出血,穿孔などの合併症が知られている.
症例は42歳男性.半年前の大腸内視鏡検査で回盲部近くに山田3型8mmの隆起性病変が指摘され,ポリペクトミー希望で受診.術前の出血,凝固時間に異常なし,既往歴特になし.通常どおりポリペクトミー終了後,止血を確認し終了.翌日午後より下血.聞き直すと,某脳外科にて脳の薬と称して投薬を受けていたが,大腸の病気には関係がないと思い,言わなかったとのこと.薬を調べると,その一つにチクロピジンが含まれていた.効果の消失までの約1週間下血したが,幸い輸血なしで経過観察にて止血した.脳梗塞(チクロピジン,ワルファリン,アスピリン),弁膜症(ワルファリン),ASO(ベラプロストナトリウム)など,既往歴のはっきりしたものでは出血に影響を及ぼす薬剤にすぐに関心がいくが,若年で明らかな既往もなく,術前検査の異常もない本例のような症例では,問診で服用薬の有無は聞いてはいたのだが,チェックもれとなり,出血を起こしてしまった.
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