特集 クリニカルパスによる外科医療の進歩
第Ⅰ部:クリニカルパス導入の実践
クリニカルパス作成の実例
2.呼吸器
胸腔鏡下自然気胸手術のクリニカルパス
長田 博昭
1
Osada Hiroaki
1
1聖マリアンナ医科大学呼吸器外科
pp.59-62
発行日 2003年10月22日
Published Date 2003/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101557
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
自然気胸の手術にVATSが導入されてすでに12年になる.肺嚢胞を含む部分切除に胸腔鏡下自動縫合器が便利である上,創が小さくて済む利点があり,低侵襲性概念と相まって事実上VATSが第一選択となっている.しかし,術後の気胸再発率は以前の腋窩開胸を標準としていた時代の3%以下から6~8%へと急増した.一方,日常臨床にクリティカルパスまたはクリニカルパス(以下,パス)が導入されて久しく,臨床の合理的標準化が意識されるようになった.自然気胸の手術に関する外科診療上のエビデンスに基づいて,最も合理的な診療計画を明文化するものである.
元来,自然気胸の手術に施設間・外科医間の差異があったところへ,胸腔鏡手術における再発予防の手段が個々に講じられているため,普遍的なエビデンスはない.理論的には完全な標準化ができる筈で,それがパス利用のあるなしにかかわらず理想であるが,実際には手術治療に関する意見の完全な一致はない.したがってパスは個別化される.本稿ではその差異は論点ではなく,パスの実際と意義が主題である.原発性自然気胸を対象としたパスの適用について述べる.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.