Japanese
English
臨床研究
術後肺塞栓症17例の検討―予防ガイドラインの必要性
Seventeen cases of acute pulmonary embolism following postoperative complication
大木 亜津子
1
,
志田 晴彦
1
,
増田 幸蔵
1
,
今成 朋洋
1
,
山本 登司
1
Ohki Atsuko
1
1東京厚生年金病院外科
キーワード:
術後肺塞栓症
,
リスクファクター
,
抗凝固・血栓溶解療法
,
血栓予防
,
ガイドライン
Keyword:
術後肺塞栓症
,
リスクファクター
,
抗凝固・血栓溶解療法
,
血栓予防
,
ガイドライン
pp.241-246
発行日 2003年2月20日
Published Date 2003/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101342
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はじめに
周術期の肺塞栓症(pulmonary embolism:以下,PE)の発生は稀ではあるが発症すると重篤な経過をとり,致死率の高い術後合併症である1).本邦での発症率は欧米に比べて低いとされてきたが,疾患に対する認識と診断精度の向上により報告が増加している2).またPEは術後良好に経過していた患者に突発する場合が多く,臨床的,社会的にも重大な問題を伴う.しかし一方では予防が可能な合併症の1つともされている.米国では術後肺塞栓症の予防ガイドラインが示されている3)が,本邦では確立した予防ガイドラインは示されていない.PEの発生,死亡率を減少させる鍵はその発生原因とされる深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:以下,DVT)の予防である.近年,PEの予防として味村らは下肢弾性包帯着用や間歇的下肢圧迫法(intermittent pneumatic compression:以下,IPC)によるDVT予防が有意差は認めないものの副作用も少なく,有用であると報告している4).当院では2000年から全身麻酔手術のほぼ全例にこれらの予防処置を行っていたが,それにもかかわらず最近PEを3例経験した.このため更なる予防としてヘパリン投与を含めたガイドラインが必要と考えた.
本稿では,当院における過去10年間の術後PE症例の概要を述べ,診断,治療,成績,予防ガイドラインについて検討した.
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