外科の常識・非常識―人に聞けない素朴な疑問・38
半抜糸(間抜糸)は必要か
鎌倉 達郎
1
,
松下 博明
1
Kamakura Tatsuro
1
1聖心美容外科
pp.229-231
発行日 2007年2月20日
Published Date 2007/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101185
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皮膚縫合は外科手術に必要不可欠な手技であり,外傷や手術などによって離開した創縁をきちんと接着させることを目的としている.皮膚表面が非吸収性の糸で縫合されれば抜糸が必要になるが,この抜糸という手技に関しては,その時期や抜く本数において各施設,医師の信念(?)などによって若干の違いがあると思われる.時期に関しては「抜糸はなぜ7日目か」で報告したが1),抜く本数については全抜糸,半抜糸(間抜糸)がある.そのなかでも,半抜糸が本当に必要かを外科に携わっている医師ならば一度は考えたことがあるかもしれない.本稿では,あらためて半抜糸の意義について考えてみたので,何かの参考にしていただければ幸いである.
筆者自身の記憶では,外科の研修医時代に手術後の患者は2日に分けて半分ずつ抜糸していた.そのころは「半抜糸しておいて」という先輩医師の言葉に従い,何も考えずに半抜糸をしていた.その後,一般外科における手術において形成外科的な縫合法を取り入れるようになったため,半抜糸することは少なくなったが,半抜糸がなくなったわけではなかった.糖尿病に併発した足壊疽の下腿切断や皮弁,筋皮弁などを起こしてその皮膚が血行不良(阻血,鬱血)になった場合など早めに半抜糸を行うこともあった.美容外科領域での診療を主とするようになってからは患者の質が変化したため,半抜糸することはなくなり,ほとんどは全抜糸をしてテープ固定を行っている.
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