おなかを開く話・2
抜糸をするまで
今村 栄一
1
1国立東京第一病院小児科
pp.57-62
発行日 1971年4月1日
Published Date 1971/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204290
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背中の痛み
朝,睡眠剤2錠を飲んでから,そのあとで何が起こったのか,わが頭脳は全く空白であった.はたして私というものが存在していたのだろうか.
目が覚めたとき,‘おなかの中はたいしたことはありませんでしたよ’と言われたが,‘はじめから,そういうことになっていたのだ’と,他人ごとのようにぼんやりと考えていた.自分で手術を見ていたのでないから,手術に対する切実感がわいてこないわけである.
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