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特集 消化器外科医に必要な低侵襲治療の知識
早期胃癌に対する内視鏡的粘膜下層剝離術―適応と実際の手技を中心に
Endoscopic submucosal dissection for treatment of early-stage gastric cancer
阿部 展次
1
,
竹内 弘久
1
,
松岡 弘芳
1
,
柳田 修
1
,
正木 忠彦
1
,
森 俊幸
1
,
杉山 政則
1
,
跡見 裕
1
Nobutsugu ABE
1
1杏林大学医学部外科
キーワード:
内視鏡的粘膜下層剝離術
,
内視鏡的粘膜切除術
,
早期胃癌
,
ESD
,
EMR
Keyword:
内視鏡的粘膜下層剝離術
,
内視鏡的粘膜切除術
,
早期胃癌
,
ESD
,
EMR
pp.1183-1192
発行日 2006年9月20日
Published Date 2006/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101126
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要旨:早期胃癌に対する内視鏡的治療の適応と,内視鏡的粘膜下層剝離術(endoscopic submucosal dissection:ESD)の実際および問題点を中心に概説した.「2cm以下の粘膜癌,組織型が分化型,陥凹型ではUL(-)」を満たす病変は内視鏡的一括切除が標準的治療である.これらに対しては,一括切除が可能であれば従来法の内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection:EMR)でもよいが,それが困難と予想された場合はESDを適用すべきであろう.現行の「胃癌治療ガイドライン」に記載されたEMRの適応拡大可能病変に対して内視鏡的治療を適用するならば,大型の切除や潰瘍の切離が必要になることから,一括切除が得られる内視鏡的切除の手技としてはESD以外に選択肢はない.しかし,これらのEMR適応拡大病変は,あくまで外科手術例における「リンパ節転移をほとんど認めない病変」であって,たとえESDで一括切除がなされたからと言って即,外科手術と同等な長期的根治性が得られるかどうかは現時点では不明であることに注意が必要である.ESDは,病変周囲の粘膜・粘膜下層を全周切開し,病変下の粘膜下層を切離・剝離する方法の総称であり,様々な方法がある.ESDの最大の利点は,従来法のEMRでは困難であった大型の一括切除が得られることであるが,高い穿孔・後出血率など,解決すべき多くの問題点を抱えている.しかし,その低い遺残再発率や,報告されつつある良好な中期遠隔成績から,ESDは将来的にも早期胃癌治療体系のなかで主力的・標準的な位置を担っていく可能性が高いと推察される.
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