臨床外科交見室
腹腔鏡下手術の光と影
岡崎 誠
1
Makoto OKAZAKI
1
1市立伊丹病院外科
pp.1464
発行日 2004年11月20日
Published Date 2004/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101089
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わが国で腹腔鏡による胆囊摘出術がはじめて行われてから,はや15年近くが経とうとしている.腹腔鏡による手術が開始された当初は,従来の開腹手術に慣れている外科医にとって,この手術法がはたして世に広まるのかは半信半疑であった.しかし,現実はものすごい勢いで行われるようになった.胆囊摘出はもとより,胃や大腸,食道,はては肝臓や膵臓の手術,乳腺や甲状腺の手術,また小切開で十分可能な虫垂炎や鼠径ヘルニアにまで広がっており,腹腔鏡の対象にならない手術を見つけるほうが難しくなってきた.
一方,新たな問題も生じてきた.腹腔鏡による前立腺癌摘出手術のトラブルが社会問題化したのは記憶に新しいところである.このトラブルの問題とは別に,医学論文や学会では通常の手術と比較して,腹腔鏡による手術の有用性がさかんに論じられている.
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