胃癌外科におけるリンパ節郭清の始まりとその展開・9
Mikuliczの胃癌外科とその時代(3)―実践での展開
高橋 孝
1,2
Takashi TAKAHASHI
1,2
1たむら記念病院外科
2亀有病院
pp.1521-1528
発行日 2006年11月20日
Published Date 2006/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101065
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【Pólya, Navratilから何処へ―リンパ節郭清の本道と逸脱】
Pólya, Navratilは1903年,Gerota液の発明によるリンパ流研究の革新を逸早く取り入れ,胃のリンパ流に多くの新知見を加えたことは前回述べたとおりであります.それは前項でみたPoirier, Cunéoの研究よりはより臨床的であり,実践応用に向いたものでした.その成果は必ずや,当時行き詰まっていた胃癌リンパ節郭清に1つの突破口を与えるものとして期待されていました.当時の外科医達のなかで最も期待されていたMikuliczは,その2年後胃癌のためにこの世を去りました.Mikuliczに代わって誰がPólyaらの研究成果を臨床の実践のなかに引き継ぎ,胃癌リンパ節郭清に新しい展開をもたらしたのでしょうか.まさに,このことをみていくのが本連載の課題であります.
本連載第6回でリンパ節郭清の発展の過程には1つの図式があることを述べました.それは,リンパ流研究という理論と臨床での実践という2つの事柄の均衡を表現するもので,体表の癌と体内・内臓の癌の場合とではその釣り合いが異なっているというものでした.
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