特集 小外科・外来処置マニュアル
Ⅶ.尿路・性器
77.陰囊水腫
長田 幸夫
1
Yukio OSADA
1
1宮崎大学医学部泌尿器科
pp.246-247
発行日 2004年10月22日
Published Date 2004/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407100853
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陰囊水腫の成因
陰囊水腫とは精巣固有【鞘】膜腔に漿液が貯留する状態を示すもので,この漿液貯留が精索内に囊腫状に限局しているものは精索水腫と呼ぶ.成因別に先天性と後天性に大別される.精巣は胎生後期に腹膜しょう状突起に包まれて鼠径管内へ嵌入し,そしてこの腹膜しょう状突起は閉鎖の過程をたどる.しかし,この閉鎖は比較的遅い時期に起こり,生下時にも大多数が開存していると言われている.したがって,腹膜しょう状突起の閉鎖不全による腹腔液の貯留すなわち先天性交通性陰囊水腫は乳幼児では発生頻度も高く,また閉鎖孔が大きく開通していれば,鼠径ヘルニアの合併も当然あるわけである.
後天性陰囊水腫は成人に多くみられ,炎症,外傷,腫瘍などに伴う症候性水腫が多くを占め,原因不明のしょう腔の漿液貯留による特発性のものもある.
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