特集 小外科・外来処置マニュアル
Ⅱ.頭部・顔面・口腔・咽頭
17.舌の外傷
鈴木 賢二
1
Kenji SUZUKI
1
1藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院耳鼻咽喉科
pp.60-62
発行日 2004年10月22日
Published Date 2004/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407100793
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舌は口蓋,口腔底,口峡とともに固有口腔に存在する1).舌前方は舌尖,舌中央の大部分を占める部分は舌体,後方は舌根と呼ぶ.舌の表面を舌背と呼び,正中部には縦走する舌正中溝があり,舌背の後方はV字型の舌分界溝がある.舌背表面には味覚の受容器である味蕾を持つ舌乳頭と呼ばれる小隆起が多数存在し,舌全体は分厚い筋肉から成り舌骨と下顎に固定されている(図1).舌筋は横紋筋の交錯する線維束から成り,多数の血管,神経が分布している.よって,舌に何らかの損傷が加わると,その種類によっては,出血,味覚異常,知覚異常,創感染や,さらには重篤な蜂窩織炎を惹起する可能性がある.
舌外傷は口腔外傷の一部であり,その受傷原因から,最も多いものは偶発的あるいは自殺企図による咬傷であり,そのほか,交通による外傷,スポーツによる外傷,異物による外傷,熱傷,化学物質による損傷などに分けられる2).
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