特集 小外科・外来処置マニュアル
Ⅱ.頭部・顔面・口腔・咽頭
10.にきび(尋常性ざ瘡),粉瘤(表皮囊腫)
黒川 一郎
1
,
西嶋 攝子
2
Ichiro KUROKAWA
1
1兵庫県立塚口病院皮膚科
2関西医科大学附属香里病院皮膚科
pp.41-43
発行日 2004年10月22日
Published Date 2004/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407100786
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にきび(尋常性ざ瘡)
尋常性ざ瘡は多くの人が罹患する,思春期に始まる慢性の毛包の炎症性疾患である.臨床的にざ瘡は面皰という毛包に角質や皮脂が詰まった皮疹から始まる.面皰には(1)毛孔(毛穴)が開いている開放(黒色)面皰(黒にきび)と(2)毛孔が閉鎖している閉鎖(白色)面皰(白にきび)の2種類があり,これらの面皰に炎症が加わると炎症性皮疹である赤色丘疹や膿疱へと移行する(図1).
閉鎖面皰から皮脂や角質の貯留が起き,毛包壁の拡大が生じると囊腫へ移行する.また,囊腫壁が破裂すると皮下膿瘍や硬結となる.その後,線維化が起きると肥厚性瘢痕やケロイドを生じる1).
思春期には皮脂腺で男性ホルモンの感受性の亢進が起こり,皮脂分泌亢進を認める.ところが,毛包漏斗部の角化異常によって皮脂が毛包漏斗部で貯留し,皮膚の常在菌であるざ瘡桿菌(Propionibacterium acnes)などの細菌の増殖が起こり,リパーゼやヒアルロニダーゼなどの菌体外酵素が産生され,好中球走化性因子や活性酸素産生などによって,炎症が惹起されると考えられている2).毛包壁が破壊され,角質や毛などが真皮に流出すると慢性期には異物肉芽腫を形成する.
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