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利根中央病院は谷川連峰に面し,片品,利根,薄根川の三川が合流する赤城山の北麓,群馬県沼田市の中央に位置します.周辺を山に囲まれた群馬県の北端にあり,古くは医療の恩恵に浴さなかった地域でもあります.そうした状況のなか地域住民の強い要望を受けて昭和29年,前身である利根中央診療所が開設されました.経営母体は診療圏(人口約10万人)の世帯数の80%弱が加入する利根保健生活協同組合で,昭和37年には現在の利根中央病院の基礎が築かれました.関越自動車道沼田インターチェンジから車で5分の当院は,精神科病床(48床)を含めて330床の地域最大の中核病院であり,利根歯科診療所,片品診療所,とね訪問看護ステーション,介護老人保健施設とねを併設しています.現在,厚生労働省指定単独型臨床研修病院,県指定災害拠点病院,県指定小児救急輪番制病院などになっており,診療科目は21科,1日平均入院患者数290人,1日平均外来患者数1,070人で,救急医療では開設以来力を注いできた結果,救急車収容は第二次医療圏全体の43%を占めています.
当科は現在,6名体制(2チーム制)で診療に当たっています.2次救急の受け入れをはじめ,マムシ咬傷などの農山村特有の疾患,またスキー場を多数抱えているため,整形外科などと共同してスノーボード外傷にあたるなど多彩な外科系疾患に対応してきました.一日の外来患者数は約50名,ベッド数40床,2003年の入院患者数1,175名の当科で扱う年間手術件数は約350件,2003年の全身麻酔症例は244例,緊急手術は82例でした.2003年の主な手術は,食道癌3例,肺癌12例,胸部良性疾患17例,胃癌28例,結腸癌16例,直腸癌11例,消化管良性疾患21例(胃・十二指腸潰瘍穿孔5例),虫切38例,肝・胆・膵・脾悪性疾患8例,胆石症40例,イレウス6例,ヘルニア73例,乳癌13例などです.2001年から肺外科の郡も加わり,胸部手術も増加してきました.鏡視下手術も胆石はもちろん胃,結腸,肺と様々です.竹内のまとめた統計によると胃癌の膵脾合併切除は減少してきました.救急医療は関原,緩和医療は原と多士済済です.施設認定では日本外科学会,日本消化器外科学会,日本大腸肛門病学会,日本乳癌学会,日本消化器病学会などがあり,呼吸器外科学会の関連施設でもあります.
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