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◇米国の外科クラークシップ(ストーニーブルック校の状況)◇
今回は米国医学生への外科教育について検討していく.筆者が日本で医学生だった頃は盛んに“米国の医学生はインターンのように働いていて,実際的なことを学んでいる.しかるに日本の医学生は臨床実習でお客さん扱いで,何にもできない”と言われていた.その批判をもとに日本でも医学生に実際的なこと(スカットワーク・病棟の仕事)をさせるようになってきた.レジデント教育については文句なしに米国のほうが充実していると感じているが,こと医学生教育について言うと必ずしも同意できないというのが率直なところである.
筆者が米国でインターンだった頃とレジデント4年目の現在を比べて,大きな変化が少なくともニューヨーク州立大学ストーニーブルック校ではあった.家庭医およびプライマリーケアの重要性が叫ばれ,スカットワークの多い外科のローテーションは一般の医学生(つまり外科に行かないほとんどの医学生)にとって重要ではないのではないかという議論がなされたようである.よって外科クラークシップの8週間はスカットワーク中心から小人数講義(スモールグループティーチング)中心に比重を移した.とは言っても,朝はインターン達と同様に割り当て患者を診て,ラウンド(回診)の時はチーフレジデントにプレゼンテーションをして,入院があると入院時の問診をし,入院時指示を出しということはレジデントの指導のもとで行う.手術にも毎日手洗いし,その患者をその後フォローする.しかしながら,講義時間が増えたので,手術中でもそれを抜け出し講義に出ねばならなかったり,通常,講義は午後なので午後の回診には現れなかったりと,チームメンバーの一員というには少し不十分な感じを受けている.これは,4,5年前には考えられなかったことである.昔の外科クラークシップへの批判は朝早くから夜遅くまでスカットワークばかりさせられ,何も学べないというものであった.よって,医学生に甘くなり,講義時間がもっと増えた.別にこれ自体が悪いことはない.単にバランスの問題で,振り子が振れ過ぎたのではないだろうか.日本のようにスカットワーク全くなし,医学生はお客様というのも問題だし,スカットワークだけで何の知識も身につかないのもきっと問題なのだろう.やはり中庸が良いのではないだろうか.
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