日米で異なる外科レジデント教育・医療事情・9
血管外科および胸部外科の実際
十川 博
1
Hiroshi SOGAWA
1
1ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校一般外科
pp.366-367
発行日 2005年3月20日
Published Date 2005/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407100499
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◇はじめに◇
日本の外科が米国に比べて症例の数で負けているのは血管外科および胸部外科の分野であろう.心筋梗塞や閉塞性末梢血障害の数は圧倒的に米国のほうが多い.また,米国の特徴としては胸部外科はCT surgeryと呼ばれて,心臓外科と肺外科を両方扱うことが多い.また,それには食道外科も含まれる.胸部の血管は胸部外科が扱う.一方,それ以外の血管の手術(腹部大動脈瘤からcarotid endoarterectomyまで)は血管外科の独占場となる.現在,心臓外科は一般外科レジデント教育の必修教科には入っていない.つまり,外科レジデントは心臓外科の手術に入る必要もないし,そのローテーションも必要ない.労働時間80時間制限のせいで人手がないせいもあり,徐々にレジデントを心臓外科から引き上げつつある.一方,肺外科,食道外科は一般外科教育に必修である.食道の手術は胸部外科医もやるし,腫瘍外科医もやるという具合に,あまり縄張り分けがされていないのが現状である.
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