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はじめに
臨床の場で用いられている機能解析の方法論は,目的とする医学概念に適応する理論を構築することから出発する場合が多い。これは,臨床的に有用な医学概念の多くが複数の物理量の非線形な複合概念であることに起因する。灌流(perfusion)を例にとって言えば,一般に受け入れられている定義は「血流による毛細血管を介した酸素と栄養素の運搬」である。しかし,これは心臓機能から血管構築まで様々な要素の複合作用の結果を意味する。したがって,灌流とは飽くまでも医学用語であり,基礎物理理論としての明らかな定義を持たない。
それとは全く対照的に,既に物理学上確立された理論体系を持つ概念の臨床応用が可能な場合もある。拡散強調画像の応用は,その良い例である。拡散現象は統計力学として確立された理論体系を背景に持ち,核磁気共鳴によるその実践計測は,1950年代には確立された技法である。核磁気共鳴の画像応用として登場したMRIにも踏襲されたことは言うまでもない。このように,もともとしっかりとした理論体系を持つ概念の臨床応用は,まず,出発点である物理概念をしっかりと理解することから始まる。
Diffusion tensor analysis represents a versatile yet powerful application of magnetic resonance imaging (MRI). Early applications of diffusion weighted imag-ing (DWI), especially those related to ischemic brain disease were quickly overshadowed by more advanced applications of DTA, namely, those dealing with ani-sotropy analysis. Considering the array of possibilities, from neuronal tract tracing to neuronal density imag-ing, DTA is rapidly becoming an indispensable tool not only in neuroscience but also in clinical investiga-tions of the brain.
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