連載 症候学メモ余滴・13
見る,視る,観る,看る,診る,察る
平山 惠造
1
1千葉大学
pp.92
発行日 1997年1月1日
Published Date 1997/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406902086
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フランス語を習い始めて間もない頃,フランス人教師がvoirとregarderの違いを繰返し教えておられたのを想い出す。日本語ではいずれも「みる」となって両者の区別がつきにくい。先生はこの両者のもつ意味の違いを説明し,日本人の陥る間違いを指摘しておられた。
フランス語では,二つの「みる」は文字の綴りも違うが発音も全く違う。日常会話の中では当然にvoirとregarderとは使い方を区別しなくてはならない。しかし日本語は象形文字から成っているので,文字にしたときには異っていても,会話では同じ「みる」と発音される。話の前後関係から「みる」の内容がどういうものであるかを,会話者の間では説明しなくても伝わることが多いが,これが時には食い違って,誤解の原因になることがある。
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