巻頭言
肺機能と臨床的觀察
岡西 順二郎
1
1都立府中病院
pp.587
発行日 1957年9月15日
Published Date 1957/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200527
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循環器の大きな仕事として,身体各組織に,養分や酸素やホルモンなどの,必要物資を供給することと,各組織で出来た老廃物を,適当な処理場に運ぶことがあげられる。この処理場として,肺と腎臓とが重大である。したがつて,呼吸と循環との関連性については,呼吸器疾患の診療に従事するものは,常に大きな関心をもつていなくてはならない。最近,この方面の研究が非常に進歩して,呼吸機能や,肺循環の状態や,相互の関係について,詳細な検査が行われるようになつたのは,心強いことである。
肺結核の治療も,単に自覚症状を除いたり,病巣を治癒にみちびくというばかりではなく,患者が生活し,ある程度の仕事をすることができるだけの,肺機能を考えるようになつた。治療後,患者の肺機能がどれほど残されているかを知ることは,その後の生活状態を指導する上に,非常に大切である。つまり,肺結核患者に対して,病理解剖学的な立場,細菌学的立場ばかりではなく,生理学的,或いは病態生理学的な立場を考えて,治療をすすめて行くようになつたのである。
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