Japanese
English
総説
磁気刺激でわかった大脳神経機構
What Has TMS Revealed in Human Neurophysiology?
宇川 義一
1
Yoshikazu Ugawa
1
1東京大学医学部神経内科
1Department of Neurology, Division of Neuroscience, Graduate School of Medicine, University of Tokyo
キーワード:
transcranial magnetic stimulation(TMS)
,
repetitive transcranial magnetic stimulation(rTMS)
,
Virtual lesion
,
long term depression(LTD)
Keyword:
transcranial magnetic stimulation(TMS)
,
repetitive transcranial magnetic stimulation(rTMS)
,
Virtual lesion
,
long term depression(LTD)
pp.647-654
発行日 2002年8月1日
Published Date 2002/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901981
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はじめに
磁気刺激法(transcranial magnetic stimulation,TMS)が導入されて以来2)すでに15年以上がたち,TMSは多くの分野に応用されてきた。初めは主として運動系に対する検査,機序解明に使用されたが,近年では視覚,体性感覚などの感覚,さらには高次機能の分析にも応用されている。この間刺激装置の改良も行われ,2連発刺激,連続刺激(repetitive TMS,rTMS)などの手法も用いられるようになってきた。特に,rTMSの出現は大きな転換期を作った。rTMSにより刺激中のみならず,刺激後にも続く効果を誘発できることが判明したのがその理由である。この事実に基づき,rTMSが一気にヒトの高次脳機能の分析に応用されるようになり,心理学を始めとするいろいろな分野の方々にも使用されるようになった。rTMSのこの特色に目を付けたもう一つのグループが,rTMSを神経,精神疾患の治療に応用しようとしたグループである。この他,TMSと近年盛んに行われている脳機能画像を組み合わせて,ヒトの中枢神経機能を分析する研究も行われている。
以上のような歴史を持った現在,TMSに関する標題のようなテーマが私に与えられたものと考える。
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