Japanese
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特集 神経アミロイドーシス
家族性アミロイドポリニューロパチーにおける変異トランスサイレチンのamyloidogenesis
Amyloidogenesis of Variant Transthyretin in Familial Amyloidotic Polyneuropathy
宮里 幹也
1
,
中里 雅光
1
,
松倉 茂
1
Mikiya Miyazato
1
,
Masamitsu Nakazato
1
,
Shigeru Matsukura
1
1宮崎医科大学第三内科
1Third Department of Internal Medicine, Miyazaki Medical College
キーワード:
familial amyloidotic polyneuropathy(FAP)
,
transthyretin(TTR)
,
amyloid
,
amyloidogenesis
Keyword:
familial amyloidotic polyneuropathy(FAP)
,
transthyretin(TTR)
,
amyloid
,
amyloidogenesis
pp.425-431
発行日 1994年5月1日
Published Date 1994/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900630
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I.アミロイド
アミロイドは二次構造上,β—strand構造をもつ蛋白質やペプチドが重合し,幅8〜15nmの分枝のない細線維となり形成される1)。アミロイドは,コンゴー赤に染まり,偏光顕微鏡下で黄緑色の複屈折性を呈することから,形態学的に容易に同定できる。アミロイドーシスにおいては,このような特異な性質を示す物質が,全身性に,あるいは限局性に細胞間質や血管壁に沈着し,種々の器質・機能障害を誘発する2)。現在までに,アミロイドを形成する蛋白質やペプチドとして表1に示す15種類が同定されている。
生体内で可溶化しているアミロイド前駆体蛋白が,アミロイドとして沈着する機序として,①アミロイド前駆体蛋白の産生亢進,たとえば骨髄腫によるγ—globulinやインスリノーマによるislet amyloid polypeptide(IAPP)3,4)の異常産生,あるいは慢性炎症によるアミロイドA蛋白の産生亢進。②アミロイド前駆体蛋白の代謝の低下,このことは基礎疾患のない高齢者でも,剖検時にしばしばアミロイド沈着が認められる5)ことと関連している。③アミロイド前駆体蛋白の構造変化,例として家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)のトランスサイレチン6)や遺伝性脳出血のcystatin C7)がある。以下,FAPにおける変異トランスサイレチンのamyloidogenesis(アミロイド形成機序)について述べる。
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