Japanese
English
Neurological CPC・91
うつ病で発症し呼吸不全を合併した傍腫瘍性ニューロパチー
Paraneoplastic Neuropathy with Respiratory Failure Preceded by Depression
宮崎 之男
1
,
鏡原 康裕
1
,
中山 宏
2
,
望月 葉子
2,4
,
新井 信隆
3
,
宮本 和人
1
,
水谷 俊雄
2
,
平井 俊策
1
1東京都立神経病院神経内科
2東京都立神経病院検査科
3東京都神経科学総合研究所臨床神経病理
4日本大学医学部神経内科
pp.83-90
発行日 2002年1月1日
Published Date 2002/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901898
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症例呈示
司会(神経内科 宮本) 本日は末梢神経病変と精神症状で初発した傍腫瘍症候群が疑われた症例の検討を致します。本例は第154回日本神経学会関東甲信越地方会にて臨床報告されています。
主治医(神経内科 宮崎) 症例は,死亡時59歳の男性です。家族歴,既往歴に特記すべきことはありません。薬品に対する暴露もなく,飲酒もビール1日350mlくらいでした。1999年5月19日ゴルフに行ってから2,3日後に後頭部痛と上肢のしびれ感(左優位)が出現,徐々に進行しました。仕事も休みがちとなり,不眠,食欲低下,体重減少(1カ月に9kg)も出現してきました。同年6月25日,近医を受診し,頭部CTなどの検査を受けましたが異常は認められず,6月29日T病院内科を紹介されました。しかし,精神科的疾患を疑われ,同日同病院神経科を受診しました。神経科では内因性うつ病が疑われ,薬物療法が開始されましたが,改善に乏しく,また本人の強い希望もあって7月22日同病院神経科に入院しました。精神科的には心気症,貧困念慮,焦燥,判断力低下などの症状が主体で初老期うつ病と診断されました。抗うつ剤投与により症状の改善が認められましたが,左上肢,右下肢優位の四肢しびれ感と冷感が増悪し,握力低下,手指巧緻運動障害も出現したため,同年8月5日,同病院神経内科にコンサルトされました。
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