今月の主題 末梢性ニューロパチー
末梢性ニューロパチーとは
祖父江 逸郎
1
Itsurō SOBUE
1
1名古屋大学医学部・第1内科
pp.166-167
発行日 1980年2月10日
Published Date 1980/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216389
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末梢性ニューロパチーの概念
ニユーロパチーneuropathyの"ニューロ"は神経を意味しており,"パチー"は病または障害,異常ということで,したがって,神経の病気,あるいは障害ということになる.このように,ニューロパチーといえば,実際には神経の障害というかなり普遍的な広い意味にも使用されるが,エンチェファロパチーencephalopathyやミエロパチーmyelopathyのような脳の病気,障害,脊髄の病気,障害に対応して使用されるときには,末梢神経の病気,障害を意味することがある.このように狭義に使用されるときには,ニューロパチーの中に末梢神経という概念がとり入れられていることがあるが,広義のニューロパチーと区別するために,また末梢神経を指すことをよりはっきりさせるために末梢性ニューロパチーのごとく,末梢性という形容詞をつけることが多い.さらに筋肉の病気,障害についてはミオパチーmyopathyという用語が使用される.
以上のように末梢性ニューロパチーというのは末梢神経の病気あるいは障害というきわめて広い概念で,総括的な名称であり病名の一つではない.したがって,末梢性ニューロパチーの中に含まれる疾患には多くのものがあるが,それは主として遺伝,免疫,アレルギー,感染,代謝,中毒,変性,腫瘍,血管障害などのような多彩な原因や,神経根か神経節,末梢神経などの主として障害される部位などによって多くのものに分けられている.
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