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特集 遺伝子改変動物から神経変性疾患へのアプローチ
ポリグルタミン病の病態と治療—トランスジェニックマウスの作成と応用
Understanding of Polyglutamine Diseases through Transgenic Mouse Models
足立 弘明
1
,
祖父江 元
1
Hiroaki Adachi
1
,
Gen Sobue
1
1名古屋大学大学院医学研究科神経内科
1Department of Neurology, Nagoya University Graduate School of Medicine
キーワード:
polyglutamine disease
,
expanded CAG repeats
,
transgenic mouse
,
nuclear inclusion
,
nuclear accumulation
Keyword:
polyglutamine disease
,
expanded CAG repeats
,
transgenic mouse
,
nuclear inclusion
,
nuclear accumulation
pp.839-845
発行日 2001年9月1日
Published Date 2001/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901830
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はじめに
現在,球脊髄性筋萎縮症1)(spinal and bulbar muscu-lar atrophy:SBMA)をはじめとする10のポリグルタミン病(Huntington病:HD,歯状核赤核・淡蒼球ルイ体萎縮症:DRPLA,脊髄小脳失調症1型:SCA 1,2型:SCA 2,Machado-Joseph病/3型:MJD/SCA 3,6型:SCA 6,7型:SCA 7,12型:SCA 12,17型:SCA 17)が知られており,これらの疾患においては病因遺伝子の翻訳領域内にポリグルタミン鎖をコードするCAGリピートの増大がみられることが共通している。ポリグルタミン病は概ね常染色体優性遺伝性形式をとり(SBMAを除く),多くの場合成人発症で,神経機能障害や神経細胞死を発症後10から20年の間に生じ,不安定性を示すCAGリピートはおよそ35〜40リピートを閾値として発症し(SCA 6を除く),伸張したCAGリピート数と発症年齢の間に負の相関が認められるなど共通点が多いが,変異遺伝子の遺伝子産物はmRNA,蛋白レベルでみて,神経組織や他臓器に広範に発現しているにもかかわらず,その病変分布は疾患ごとに異なっている。これらの遺伝子産物の本来の機能はSBMAとSCA 6を除きわかっていない2,3)。
近年,ポリグルタミン病のトランスジェニック動物は数多くの報告がなされている。
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