最新基礎科学/知っておきたい
トランスジェニックマウス
妻木 範行
1
1大阪警察病院整形外科
pp.778-780
発行日 2001年6月25日
Published Date 2001/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903307
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トランスジェニックマウス(遺伝子導入マウス)とは外来遺伝子を組み込んだマウスのことである.受精卵の前核に遺伝子DNAの溶液を注入すると,受精卵の染色体に組み込まれ,その後の発生過程において細胞分裂が起こる度に,すべての体細胞にその染色体の一部として分配されていく.因みにノックアウトマウスは特定の遺伝子を全体細胞で不活化したマウスのことである.トランスジェニックマウスは,導入遺伝子がコードする蛋白の生体における機能を調べるための有用な手段である.例えば,がん遺伝子を導入されたトランスジェニックマウスにがんが発生し,成長ホルモン遺伝子を導入されたトランスジェニックマウスは過成長し,巨人症様変化を呈する.軟骨形成因子(cartilage-derived morphogenetic protein-1)遺伝子を導入したマウスは軟骨原基の増大とともに関節の癒合を来す.このような軟骨形成因子の機能は培養細胞では決して調べられず,個体まで発生させなければわからないことである.
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