Japanese
English
特集 遺伝子改変動物から神経変性疾患へのアプローチ
トランスジェニック動物によるALSモデル
ALS Models by Transgenic Animals
青木 正志
1
,
永井 真貴子
1
,
加藤 昌昭
1
,
糸山 泰人
1
Masashi Aoki
1
,
Makiko Nagai
1
,
Masaaki Kato
1
,
Yasuto Itoyama
1
1東北大学大学院医学系研究科神経内科
1Department of Neurology, Tohoku University School of Medicine
キーワード:
amyotrophic lateral sclerosis(ALS)
,
Cu/Zn superoxide dismutase(Cu/Zn SOD)
,
transgenic mouse
,
transgenic rat
Keyword:
amyotrophic lateral sclerosis(ALS)
,
Cu/Zn superoxide dismutase(Cu/Zn SOD)
,
transgenic mouse
,
transgenic rat
pp.799-807
発行日 2001年9月1日
Published Date 2001/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901826
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)は上位および下位運動ニューロンを選択的かつ系統的に障害し,呼吸筋を含む全身の筋萎縮をきたす進行性疾患であり,その原因究明および治療法の確立は医学的のみならず社会的にも急務となっている。加えて現在までに有効な治療薬や治療法がほとんどないため,ALSは神経疾患のなかで最も過酷な疾患とされ,早期に病因の解明と有効な治療法の確立が求められている。近年,遺伝学的解析法の進歩により,いくつかの遺伝性疾患の原因遺伝子が明らかになってきた。この手法はALSにも応用され,まず家族性ALSにおいてその一部の原因遺伝子がCu/Zn superoxidedismutase(以下Cu/Zn SOD)であることが1993年に明らかになったが,多くの症例は依然として原因不明である。本稿では,このCu/Zn SOD遺伝子の突然変異を導入してALS症状の再現に成功し,現在最も汎用されているトランスジェニックマウスおよび最近はじめて確立したトランスジェニックラットによるALSモデルを中心に述べる。
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.