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異常行動で発症し,痴呆とともに呼吸筋麻痺が進行し,人工呼吸器の使用により全経過約74カ月と長期間生存し得た痴呆を伴った運動ニューロン病(MND with Dementia)の剖検所見を報告した。これまでの報告例に比較して罹病期間の長い症例であるが,萎縮した前頭葉および側頭葉の組織所見,扁桃体,黒質さらに脊髄前角などの変性所見は既報告所見と同様であり,また,罹病期間とともに増加すると推測されていたユビキチン陽性封入体を持つ海馬歯状回顆粒細胞の出現頻度には明らかな増多は認められなかった。しかし,これまで外側膝状体より後方には見られないとされていた海馬傍回の限局性病変は,spleniumのレベルまで延長して観察された。この後方への変化は,罹病期間との関連から病変の進行過程を示唆する所見と思われた。また組織構造に乱れのない頭頂葉皮質に限って多数の老人斑が観察された。
An autopsy case of MND with dementia, 67 years old, man, was reported. The behavioral disturbance appeared at 61 years old, and was followed by the up-per limb weakness and respiratory failure. He had re-mained on a respirator for 56 months. The total dura-tion of the disease was 74 months, which was far longer than mean duration of the cases previously re-ported, 25-30 months.
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