Japanese
English
特集 Axonal flow—最近の進歩
4.Axonal flowの異常を伴う疾患
Diseases with Axonal Flow Impairment
佐々木 彰一
1
Shoichi Sasaki
1
1東京女子医科大学脳神経センター神経内科
1Department of Neurology, Tokyo Women's Medical College
キーワード:
axonal flow
,
axonal transport impairment
,
amyloid precursor protein
,
amyotrophic lateral sclerosis
,
trauma
,
cerebral ischemia
Keyword:
axonal flow
,
axonal transport impairment
,
amyloid precursor protein
,
amyotrophic lateral sclerosis
,
trauma
,
cerebral ischemia
pp.719-728
発行日 1998年8月1日
Published Date 1998/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901321
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はじめに
Axonal flow(軸索流)には,遅いコンポーネントから成る遅い軸索輸送(slow axonal transport)と,速いコンポーネントから成る速い軸索輸送(fast axonaltransport)がある。遅いコンポーネントに属するニューロフィラメント(neurofilament:NF)は,NF-L,NF-M, NF-Hの3つのサブユニットからなり,胞体内から軸索内に輸送され神経終末に到達した後,カルシウムイオンによって活性化されたプロテアーゼによって分解される。NFは正常神経細胞では軸索の成長と軸索径の維持に関与しており,その移動速度は神経細胞の種類,年齢,神経線維の部位など種々の要因によって異なる。たとえば,NFの移動速度は運動ニューロンでは網膜神経節細胞より速く42),未熟な軸索あるいは再生過程の軸索では成熟した軸索より速く34,35,48,84),また軸索近位部では遠位部より速い82)。一方,速いコンポーネントに属するものには,ミトコンドリア,ライソゾームおよび滑面小胞体などの膜性小器官,シナプス小胞,ニューロトランスミッターなどがあり,神経細胞の機能維持に関与している。近年,順行性の速い軸索輸送によって胞体内から末梢神経に輸送されるamyloid precursor protein(APP)を用いての研究がなされ,外傷をはじめ種々の疾患で応用されている。
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