Japanese
English
総説
脳幹死について
On The Conception of The Brainstem Death
川村 浩
1
,
花田 安弘
2
Hiroshi Kawamura
1
1東亜大学大学院脳機能学研究室
2明治学院大学一般教育部心理学研究室
1University of East Asia Graduate School
キーワード:
brainstem
,
activating system
,
brain death
,
brainstem death
Keyword:
brainstem
,
activating system
,
brain death
,
brainstem death
pp.602-610
発行日 1997年7月1日
Published Date 1997/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901131
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
臓器移植との関連において脳死の問題が論議されて久しい。難治の臓器疾患を抱える人たちは,近づく死の影に怯え,少なくとも当面それから救ってくれる臓器移植の手段があるのに,なぜ日本ではその実行が難しく他の先進国の助けを求めねばならないか,と考えるだろう。一方,受け入れ側の先進国では,日本人はなぜ自国でその問題を解決できずに,限りあるドナーの臓器を求めて他国にまで渡ってくるのかと疑問をもち,時にはそれが反感にさえ変わる。
脳死の論議が紛糾した原因の一つに,医学界において脳死や脳幹死の概念が不確実だったことがあるように思える。まず脳幹の定義自体が混乱している。その曖昧な定義のままで脳幹死の概念が導人され,不必要な混乱を招いたのではないか。以下に私たちの実験を紹介しながら,この問題について考察を試みたい。
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.