Japanese
English
総説
遺伝性脊髄小脳変性症の分類と臨床
Classification and clinical topics on familial spinocerebellar degeneration
阿部 康二
1
Koji Abe
1
1東北大学医学部神経内科
1Department of Neurology, Tohoku University School of Medicine
キーワード:
spinocerebellar ataxia
,
CAG trinucleotide repeat
,
anticipation
,
somatic mosaicism
Keyword:
spinocerebellar ataxia
,
CAG trinucleotide repeat
,
anticipation
,
somatic mosaicism
pp.591-601
発行日 1997年7月1日
Published Date 1997/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901130
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I.はじめに
脊髄小脳変性症(Spinocerebellar degeneration,SCD)は,小脳性または脊髄性の運動失調を主症候とし,小脳や脊髄の神経核や伝導路に病変の主座をもつ変性疾患の総称である。一般に発症は緩徐であるが進行性で,病型によっては遺伝性に発現する。頭部のX線CTやMRIにより,小脳や脳幹の萎縮がしばしばみられる。主要症候は小脳性あるいは脊髄後索性の運動失調であるが,病型によっては自律神経症候や痙性対麻痺が主症状のものもあったり,錐体路症候や,錐体外路症候などを示す場合があるなど症候は極めて多彩であり,このため従来より分類には幾重もの曲折と変遷がみられてきた。近年の分子遺伝学的研究の進歩に伴い,従来不明とされていたこれらの疾患の原因が遺伝子レベルで次々と明らかにされつつあり,今日の神経科学上の一大トピックスともなっている。このような遺伝子レベルでの研究の一大進展は,本疾患の分類や臨床にめまぐるしく,かつ大きな変更を求めることにもつながっている。そこで本稿ではまず脊髄小脳変性症一般につき述べ,次いでこれらのうち遺伝性のものに対する最新の研究の進歩を概説した後,各病型についてその臨床的特徴をまとめて述べることとする。
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