Japanese
English
総説
脳死の判定
The Diagnosis of Brain Death
竹内 一夫
1
Kazuo Takeuchi
1
1杏林大学脳神経外科
1Kyorin University School of Medicine (Neurosurgery)
キーワード:
brain death
,
diagnosis
,
criteria
,
determination
,
guideline
Keyword:
brain death
,
diagnosis
,
criteria
,
determination
,
guideline
pp.557-563
発行日 2002年7月1日
Published Date 2002/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901967
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はじめに
近代医学の落し児ともいわれる脳死の状態は,すでに19世紀半ば頃から記載されはじめている13,33,54)。そして19世紀末から20世紀の初頭にかけてHors-ley15),Duckworth10),Cushing8)らの先達によって,いっそう詳細に観察されている。しかし医学的にも,また社会的にもひろく注目されはじめたのは,1967年のBarnardによる最初の心臓移植以後である。そして翌年には今日まで米国のみならず各国の脳死の判定基準の基本とされているHarvard基準6)が発表された。わが国でも同じ年に日本脳波学会の委員会64)が脳死の定義を発表し,1974年には脳死の判定基準も作られた65)。その後早くも1975年には脳死研究の草分けとも言えるWalker68)は,脳死の自然歴(natural his-tory)については,これ以上検討の余地はないと述べている。臨床経験の豊富な神経系の専門医であれば,この見解は当然理解できることである。
新しい免疫抑制剤が導入され,臓器移植が再び盛んになりはじめた1980年代になると,各国からヒトの死とか脳死状態に対する公的な見解や法律が発表されるようになった。なかでも米国大統領委員会による「死の判定ガイドライン」49)や,英国医師会による「脳幹死のABC」45,46)はもっとも有名である。
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