連載 症候学メモ余滴・10
小細胞赤核と大細胞赤核—小脳遠心系との関わり
平山 惠造
1
1千葉大学
pp.962
発行日 1996年10月1日
Published Date 1996/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901019
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小川鼎三先生がその著書「脳の解剖学」(南山堂,昭26年)の中の数カ所で,この表題に関連あることを述べておられる。それは先生のそれまでの研究を背景にまとめられたものである。病理学雑誌2:12-27,昭18.も参照しながら紹介してみよう。
人の赤核と猿ほかの動物の赤核は外見似ているので,いずれも赤核と呼ばれるが,両者は本質的に異なる。赤核は人では小細胞群からなり,動物では大細胞群からなっている。人での大細胞は赤核の外の前下方に極く少数ある。動物での小細胞群は赤核の上端から後内側に延び(間質核),さらに中心灰白質に及んでいる(後交連核,Darkschewitsch核)。これらの核は人の赤核に相当する。従って赤核は人と動物とで同じ様に論じることはできない。
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