Japanese
English
研究と報告
赤核黒質傷害における幻覚について
Über die Halluzinationen eines Falls der Roten-kern-Schädigung
前田 昭夫
1,2
,
中村 芳正
1,2
,
佐々木 栄治
1,2
A. MAEDA
1,2
,
Y. NAKAMURA
1,2
,
E. SASAKI
1,2
1大阪市立大学神経精神科
2堺脳病院
1Neuropsychiatrische kinik der Osaka Stadtischen Universitat
2Psychiatrische Heilanstalt Sakai
pp.575-580
発行日 1959年8月15日
Published Date 1959/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200124
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
明確な中枢神経系の器質的傷害で,異常体験その他の精神障害が現われたとき,傷害と精神症状との連関はいろいろな問題を含んでいる。すなわちその精神障害をallgemeine Symptomeとlokale Symptomeに分けるにしても,後者の範囲を全体のうちでどこまで拡張して理解したらよいかという問題。中枢神経系のmateriellな傷害がどのような機制の上で,目前の精神症状に連関を持つかという問題。一歩譲つて仮りにこの両者が単に偶発的合併症であるとしても,中枢神経系の傷害がなんらかの意味で精神像に影響をおよぼすこと(全体の色づけ・ニュアンス)は否定できぬがゆえに,精神病像のうちどこまでorganisch bedingtなものが規定さるべきかという問題などである。
しかし結局この問題は精神病像の構成における中枢神経系の役割という問題に帰するわけである。むろんこれは脳病理学と精神病理学の連関の根本問題であり,早急な解決は慎まねばならぬしまた不能で,Kasuistischに積み重ねて解決してゆくよりほかはない。この意味でここに紹介する症例も,かかる研究の素材となり得れば幸である。
Copyright © 1959, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.