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63歳から96歳までの正常高齢者剖検例28例で,剖検時に頭蓋内容積をアルギン酸ナトリウムを用いた鋳型法で測定すると同時に,脳体積および脳室容積を未固定の状態で測定して,脳萎縮と加齢の関係を検討した。脳体積/頭蓋内容積比と年齢の間には有意の相関は認められず,70歳以降では加齢に伴って脳が生理的に萎縮するとは考えにくかった(r=0.22,p=0.28)。さらに脳室容積,脳室容積/頭蓋内容積比および脳室容積/脳体積比と年齢の問にも有意の相関は認められず(r=0.13,p=0.50),脳室が加齢とともに拡大するとは考えにくかった。高齢者の脳萎縮や脳室拡大に関する報告は少ないが,その約半数が我々と同様な結果を示していた。これは中年期から初老期を対象とした従来の検討が全て,脳萎縮が中年期以降に加速度的に進行するとしていることと対照的であった。以上から,高齢者においては生理的加齢に伴う脳実質の萎縮は進行しないか,あるいは進行してもきわめて緩徐であると考えられた。
It is generally agreed that the adult human brain shows atrophy with advance of ageing. Although this phenomenon has been confirmed, mainly by measurement on CT images, there were only a few studieds on brains over the age of 70 years. We measured the cranial cavity volume brain volume and ventricular volume in 28 normal autopsy brains of from 63 to 96 years of age (mean 81.4 years).
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