Japanese
English
特集 難治疾患の病名告知をめぐって
遺伝性運動失調症
Informed Consent to the Patient with Hereditary Ataxia
高栁 哲也
1
,
松村 隆介
1
,
村田 顕也
1
Tetsuya Takayanagi
1
,
Ryusuke Matumura
1
,
Kenya Murata
1
1奈良県立医科大学神経内科
1Department of Neurology, Nara Medical University
キーワード:
hereditary ataxia
,
informed consent
Keyword:
hereditary ataxia
,
informed consent
pp.437-442
発行日 1996年5月1日
Published Date 1996/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900945
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I.はじめに
我が国の病名告知の問題は,その発端を外国から輸入された"Informed Consest"(IC)に発している1)。これは"「インフォームドコンセント」とか「説明と同意」"と常に邦訳されている2)。したがってここでも,その訳語の正しさは別として,これらの言葉を使うこととする。いかにも外国語をそのまま輸入した感じで,我が国に定着した概念になっていなくて,違和感があり,聞いたり見たりすると,ぞくぞくとした気持がするが,世間ではこのように扱われてきたので致し方ない。英語をカタカナ読みするのは,何となく耐えられないものであり,なるべく勘弁させて貰いたい。ついでに言えば,「説明と同意」では舌足らずであり,「共感から同意へ」の訳3)もその大意を尽していない。蓋し,法律的見地から始まったこの用語が医師をも含めた多くの観点から医師と患者の診療関係を十分に表現することは容易ではない。この趣旨は,医療行為上で患者さんに医師が充分に病状,検査,診断,治療,予後について説明して,患者さんの納得,理解,承諾,選択,協力が得られることであり,その上に立って診療,薬剤開発その他の医療の周辺事項までをも凡て含む医療行為が円滑に進行することを目的とする内容を示している。医師と患者の間には,「対話・協力」がなければこの医療は成り立たないので,これが最もその意を満たしていると日頃考えていることを申し添えたい。
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