Japanese
English
特集 難治疾患の病名告知をめぐって
Alzheimer病/脳血管性痴呆
Some Problems in Giving Notice of the Name of a Disease: With Special Reference to Alzheimer's Disease and Vascular Dementia
平井 俊策
1
Shunsaku Hirai
1
1東京都立神経病院
1Tokyo Metropolitan Neurological Hospital
キーワード:
Alzheimer's disease
,
vascular dementia
,
diagnosis
,
prognosis
,
notice
Keyword:
Alzheimer's disease
,
vascular dementia
,
diagnosis
,
prognosis
,
notice
pp.431-435
発行日 1996年5月1日
Published Date 1996/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900944
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はじめに
私に与えられたテーマはAlzheimer病と脳血管性痴呆について病名告知をすべきかどうか,告知をする場合にはどのような問題があるかを述べることにある。
我が国はいまや世界一の長寿国となっており,急速に高齢化社会を迎えつつある。65歳以上の老年者が総人口に占める割合は全国平均で14%を越えており,若者が都会に出て行く地方では,さらに人口の高齢化率が高い。人口の高齢化に伴って多くの問題が生じているが,中でも痴呆老年者の増加は医学的のみならず,社会的にも大きな問題である。65歳以上の在宅老年者の中で痴呆を示すものの比率は,各地の疫学調査によれば3-5%とされており,病院や施設に入っている例を含めると日本全国で約125万人の痴呆老年者がいると推定されている。これらの老年期痴呆の大半を占めるのが脳血管性痴呆とAlzheimer病であり,このいずれか,あるいは両者が併存してそのいずれもがほぼ同様に痴呆の原因となっている混合型痴呆によって90%近くが占められている。したがって実地臨床の現場では,これらの病名を告知すべきかどうかは日常遭遇する大きな問題といえる。しかし,Alz—heimer病と脳血管性痴呆とでは告知の問題について同一には論じられない点があるので,以下それぞれに分けてこの問題について考えてみたい。その前に参考までに両者の鑑別の要点を表1に示す。
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